麻疹
麻疹ウィルスに感染すると、約10日後に発熱/咳/鼻水といった風邪のような症状が現れ、2-3日熱が続いた後、さらに
高熱と発疹が出現します。大人になってから麻疹を発症すると、重症化しやすいと言われており、体の抵抗力が一時的に
低下するため、肺炎や脳炎、心筋炎などの合併症を起こすケースもあるため、注意が必要です。
特に、妊婦さんが麻疹にかかってしまった場合、流産や早産のリスクが高くなるのに加え、自身も重症化しやすく、
非妊娠時よりも死亡率が上がることが分かっています。風疹と違って、妊娠中の感染によってお腹の赤ちゃんに
奇形を起こす事は少ないと考えられています。
麻疹ウィルスの感染力は非常に強いため、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症すると言われています。
一方で、いちど感染して発症した場合は、一生免疫が持続します。
ウィルスが空気中を漂って、それを吸い込んだ人が感染する、「空気感染」もするので、手洗い、マスクのみで予防は
できません。現在のところ、麻しんの予防接種が最も有効な予防法といえます。
自分が麻疹に対する抵抗力を持っているかどうかを調べるには、
まず、母子手帳などで予防接種(ワクチン)を受けているか
(回数も)をチェックすると共に、
幼少期にはしかを発症したかどうかをご家族などに確認してください。
一般的には、平成2年4月以降に生まれた方は、定期接種として2回の麻しん含有ワクチンを受けているはずですが、
それ以前に生まれた方は、1回のワクチン接種のみの場合が多いと思います。
予防接種は、1回で十分な免疫が獲得できるとは限らず、1回接種の場合は数%程度の人には十分な免疫がつかないことが
知られています。
情報が曖昧だったり、わからない場合は、麻疹の抗体価を測定することもできます。
妊娠中にワクチンを打つ事は出来ないため、妊娠を考えている方や、パートナーの方、
流行地へ行く方、(もちろんそうでない方々も)いまいちど自分が麻疹に対する免疫を持っているか
チェックしておくとともに、免疫が不十分な方はワクチン接種しておくことをおすすめします。
風疹
風疹は風疹ウィルスによって引き起こされる発疹性の感染症です。
感染経路は、風疹患者さんの咳やクシャミに含まれるウィルスを吸い込むことによる「飛沫感染」が殆どです。
主な症状は発熱、発疹、リンパ節の腫れなどですが、感染しても症状が出ない場合も15-30%あると言われています。
免疫のない女性が妊娠初期に風疹ウイルスに感染すると赤ちゃんに先天性風疹症候群という障害を起こすことがあります。
母親が、症状を伴う感染を起こした場合、妊娠月別の先天性風疹症候群の発生頻度は
妊娠1ヶ月-50%以上、妊娠2ヶ月-35 %、妊娠3ヶ月-18%、妊娠4ヶ月-8%程度といわれています。(国立感染症研究所
)
風疹は、いちど自然に感染すると一生つづく免疫が体内に作られるため、その後風疹にかかることはないとされています。
この免疫は、実際に風疹にかかった事のない人でも、風疹ワクチンを接種することでも作られます。
ワクチンのポイント以下の通りです。
- 妊娠中の女性は接種することができません
- 2回の接種でより確実に免疫を獲得できるとされています
- 妊娠を希望している女性に限らず、そのご家族も接種することが大切です
- ワクチン接種後は2ヶ月間避妊が必要ですが、
その間に妊娠したとしても先天性風疹症候群を発症したという報告はありません
- 特に下記の時期に生まれた方は十分な免疫を持っていない可能性があります
(昭和54年4月2日〜平成2年3月31日生まれの男女はワクチンの接種率が低く、
昭和54年4月1日以前生まれの男性は子供の頃に定期接種のチャンスがありませんでした。)
これから妊娠を考えている方で、自分が風疹にかかったか確実でない方、ワクチンを受けているかご不明な方は、
まずご自身の風疹抗体価を検査してみてください。その結果によって必要な場合はワクチンの接種を強くお勧めします。